あとがきとかメモとか諸々。
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GH:ついった小話まとめ
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きらきらと宝石のように輝くそれにときめきを覚えたのはいつ以来だろう。
「これは?」
「ゼリーです」
「見ればわかります」
何でこんなものがここに?
「前にお好きだって」
覚えていたのか。
「元気のない時は好きなものが一番です」
昼のベッドで好きなもの。
なんて贅沢なのだろうと真砂子は笑った。
(神父と霊媒「昼のベッド」「ときめく」「ゼリー」20111128)
陽の落ちかけたこの時間になるとすべての物の影は濃く、長くなる。
まるでその存在を主張するように。
「ああもう帰りたい」
神社の境内に足を踏み入れながら呟く。
しかしこの機材を設置しないで帰れば我らが所長様の怖いお仕置きが待っている。
なんであんなのがいいのかね。
私が知りたいよ。
と自嘲した。
(バイト娘「夕方の神社」「お仕置きをする」「噂」 20111129)
日が昇った後、神社の境内から出てきて皆で笑いあった。
「何もなかったな」
「案外デマなんじゃない?」
水を差すように所長の声。
「初日は毎回こんなものだろう」
「わかってら」
そう、皆わかってる。
その証拠に、神経の糸は今でも切れそうなくらい張り詰めたままだ。
(SPR「早朝の神社」「笑い合う」「糸」 20111204)
この街の境は曖昧だ。
渋谷から表参道へと歩いていくと、いつの間にか景色が変わっている。
並んで歩いている彼を見やればうっすらと首筋に汗が浮いていた。
「あそこで冷たいお茶でもいただきません?」
「ええ、そうどすね」
待ち合わせに遅れたのだ。
お茶くらい付き合ってくれても罰はあたらないだろう。
(神父と霊媒「夕方の遊歩道」「約束を破る」「汗」 20111213)
「お?」
機材を回収しようとして屈むと、鳥居の足に絡むようにあるその花が目に入った。
「朝顔だー」
そういえば、最近目にすることもなかった。
小学校のときは育ててもいたのに。
早起きは三文の得とはよくいったものだ。
現に、惰眠を貪っている皆はこの花を見られない。
(バイト娘「朝の神社」「貪る」「花」 20111220)
はあ、と息を吐くと真っ白だった。
まだ人の少ない公園のベンチに待ち合わせ相手を見つけ、駆け出す。
彼の金の髪は遠くからでもすぐわかった。
お待たせしました、と彼の前に立つと、彼は一瞬目をみはる。
「変装ですか?」
一応。と眼鏡を少し下げる。
芸能人も大変ですね。
苦笑し、手を取って歩き始めた。
(神父と霊媒「朝のベンチ」「手を繋ぐ」「眼鏡」20111222)
日直だからといって早く来すぎた。
まだ校舎の鍵も開いていない。
校庭の隅のベンチに腰掛け、問題集を開いた。
センター試験まで後少し。
「ええい!微分積分ができなくて超自然科学研究所の所員が名乗れるか!!」
恐怖体験に比べれば何のこれしきのこと。
我らが所長サマに当然だと鼻で笑われた気がした。
(バイト娘「早朝のベンチ」「計算する」「試験」 20120102)
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