あとがきとかメモとか諸々。
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猫:ジェミマとランパスキャット
10年寒中見舞いの後日談的な何か。
*****
ぱら、と乾いた軽い音で、ジェミマは目を覚ました。
ゆっくりと首だけ回して音のした方向へと顔をむける。
そこには白に黒のブチ猫がいた。
ジェミマの枕元で、彼は大柄な身体をだらしなくのばして、のんびりと新聞紙を広げている。
頁をめくる手つきが規則正しいところをみると、どうやらその中身を読んでいるわけではなさそうだ。
ジェミマに気付いたのか、ランパスキャットは手にしていた新聞紙を丁寧に畳んで、器用にもそれを丸めて、ポンとジェミマの頭を叩いてきた。
「起きたか。馬鹿娘」
馬鹿じゃないもん。
と、いい返そうかと思ったが、いうだけ無駄な気がしてきたので止めておいた。
「マンカスは?」
「ちっこいのが起きて、ぐずりはじめたんで、連れて出ていった」
いわれ、隣をみやれば、ついさっきまで一緒に寝ていたシラバブがいなかった。毛布だけが抜け殻のようにくたっと床の上に置き去りにされている。
「ランパスは?何してるの?」
「子守だ。見ればわかるだろう?」
正直、ただの暇つぶしに新聞を眺めていたようにしかみえない。
なんとも怠慢な子守だ。
「それにしても、」
と、ランパスキャットは呆れたように呟いた。
「雪玉食って腹壊したって?」
「……」
「お前ら、本当にアホだな」
「誰のせいよ!?誰の!」
と、ジェミマがくってかかったところで、ランパスキャットに堪えるはずもない。
ランパスキャットは、それがまるであたりまえだとでもいうように、「マンカスの躾がなってないせいだろう」とこたえた。
自分でやっておいてなんだが、ジェミマは心底、マンカストラップに同情した。マンカストラップがいつもどうしてあんなに苦労しているのかがなんとなくわかった気がした。
このブチ猫の頭の中には自分が悪いという思考なんて存在していないに違いない。
そう思っていたから、ランパスキャットが「具合は?」と訊いてきたときには心底驚いた。
「もういいのか?」
二度、三度とまばたきをして、ジェミマは怪訝そうな表情で首を傾げる。
「何の?」
「腹だ、腹」
「誰の?」
「お前の」
いよいよもって、おかしい。
ペタッとジェミマはランパスキャットの額に手を当てた。
「熱ある?正気?」
「お前よりはな」
ランパスキャットは鬱陶しそうにジェミマの手を払いのけた。
そして、何を思ったのか、その手でわしゃわしゃとジェミマの頭を撫でる。
「なによ?」
「それだけ元気なら大丈夫だな」
「――……」
ねえ。
と、おそるおそるジェミマは訊く。
「もしかして、悪かったと思ってる?」
「少しな」
「心配した?」
「後始末が大変だろうなと思った」
「ひどーい!」
ジェミマはランパスキャットの手から抜けると、わざとふくれてみせた。
相変わらず、口が悪い相手だ。
勿論、それだけではないとわかってはいるけれど。
「ねえ、また教えてね」
「何をだ?」
「なんでも!」
例えば、小さな頃は何をしていたのか、とか、そういう些細なことから、今、何を考えているのか、まで。なんでも。
それが彼にかかわることならば、なんだって、知りたいと思う。
「やめとけ。ロクなこと教えられんぞ、俺は」
「いいの。ランパスのことが知りたい」
ジェミマの意図を知ってか知らずか、ランパスキャットは呆れたように「わかった」というと、再びわしゃわしゃとジェミマの頭を撫でた。
そして、意地悪そうににやりと笑う。
「とりあえず、腹、治してからな」
end
んで、またどーしよーもないこと教わって、実行して、リーダーに迷惑かける、と。
Cさん、美味しいネタをありがとうございました!
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