あとがきとかメモとか諸々。
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04:Broken stars
CFY:ボビーとザングラー
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どれだけのアルコールを胃に流し込んだのかもわからなくなった頃、彼はぽつんと呟いた。
「女にホレるなんてのはな、星に恋するようなもんだ」
「は?」
「世の中にゃあ、あんなに沢山女がいて、ホレた女よりも美人で気立てが良くてイイ女だっていっぱいいるんだ。それでも、ホレた女が一番いいんだからな」
「ああ。夜空には星が沢山あって、気に入った星よりも綺麗な星はいっぱいあるのに、それが一番だと思うからってことか」
「そのとおり」
「今、サラッと失礼なこといったよな」
「正論だけどひでえな」
彼はまた空になったグラスに赤みがかった琥珀色の液体を注いだ。
すると、彼の隣にいる彼も同じように自分のグラスに酒を注ぐ。
『つきあいきれない』と(実際に口に出したわけではないが)カウンターの主が仕事を放棄して外野に回ったため、随分前から手酌なのだが、二人ともそんなことはもうどうでもいいらしい。
「でもさあ、星は色々とうるさくないよ?」
「平手もしないな」
「いきなり鍋が飛んできたり」
「とどめの一言もない」
「うわ、きっつー」
「ひっどーい!」
「嫌ならさっさと別れればいいのに」
「あー、なんだっけ、アレ。ロマンチスト?」
「微妙に違くね?」
「夢みるのは勝手だけどねえ」
「それを押し付けるのはやめてほしいわー」
「本当。イイ迷惑」
二人同時にグラスの中身を煽ると、ダンっ!とカウンターに下ろす。
音が響くのと、ほんの少しだけ残った液体が跳ねるのも、やはり二人同時だった。
『でも!生身の相手のほうがいい!!』
ポォリィイイイ!ポォリィイイイ!ポォリィイイイ!
テッシィイイイ!テッシィイイイ!テッシィイイイ!
と、名前を連呼しながら二人して泣き崩れる。
「情けない」
「バカよねー」
「懲りないんだから」
やれやれ。
と、デッドロックの住人達はいつものように嘆息して肩をすくめた。
END
異国の言葉で10綴り
04:Broken stars (壊れた星)
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