あとがきとかメモとか諸々。
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猫:カーバケッティとディミータとボンバルリーナ。
擬人化注意。
紳士がお馬鹿でちょっとかわいそうな扱いが苦手な方は回れ右を推奨します。
擬人化注意。
紳士がお馬鹿でちょっとかわいそうな扱いが苦手な方は回れ右を推奨します。
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彼がやってくるのはいつも突然だった。
彼はいつも突然やってくる。
突然やってきた彼は、いつも当然のように問題を持ち込んで、そして突然去っていく。
だから、その日、彼がやってきたのは当然突然であって、突然アホな企画を持ち込んできたのも当然だった。
「やあ!久しぶり!」
バンっ!と家が軋むような気がするくらいの音を立てて、扉が開く。
「とっっってもイイ話があったんで、もってきたよ!」
カーバケッティはやたらとハイなテンションで飛びこんできたが、それはいつものことなので、ディミータもボンバルリーナも驚かない。
ディミータはつまらなそうにテレビのリモコンをいじりながら、ボンバルリーナは手元の本から視線をあげもせずに、それぞれ「あ、そ」「ふうん」とこたえるだけだ。
「これを見てくれ!」
カーバケッティは一枚の紙を大事そうに取り出した。
「夏休みのお子さま向け企画はこれで決まりだね!!」
そしてそれを高々と掲げてみせる。
劇画だったら背後から後光がさしてきそうだ。
ディミータは無視しようと思ったが――さすがに良心が咎めたので――「みせて」と、カーバケッティに手を差し出した。
「ありがとう、ディミ!心ゆくまで見てくれ!」
なんとはなしにディミータはそれに目を通し、そして文字通り絶句した。
そこには、
『夏休み限定●●デパート屋上ヒーローショー
グレートランパスキャットvsキャットウーマン
~愛そして生きるために死ねますか~』
と書いてある。
一体、どこをどうやったのか、ロゴが出来上がり、グレートランパスキャットことランパスキャットとキャットウーマンが今にも一戦ぶちかましそうな構図の合成写真が大きく印刷されている。
今すぐにでも告知ポスターとして街中に張り出されてもいい出来だ。
「――――……何これ」
「良くできてるだろう?自信作なんだ」
グレートランパスキャットはともかく、問題なのは“キャットウーマン”のほうだ。
猫耳のはえたマスクに、黒皮のコスチューム。
大胆に肩を出し、胸元を強調したトップスに、脚線美をさらけ出したホットパンツを穿いた“キャットウーマン”としてそこに描かれているのはまごうことなくボンバルリーナだ。
「これでもう今夏の話題は独り占めだね。お子さまから保護者のおにーさん、おとーさんまで、みんなのハートをがっちりさ!」
「『がっちりさ!』じゃないわよ!こんな恥ずかしい企画……馬鹿馬鹿しい。やってらんないわ!」
「ひどいなあ。俺がせとかく一生懸命考えたのに」
「もっとマシなこと考えてよ!大体、何この写真?どうみてもリーナじゃない」
「顔だけ合成。上手いもんだろ」
「リーナの許可は?」
「事後承諾!」
「ふざけんな!!」
瞬間湯沸かし機のように、ディミータは顔を真っ赤にして声を荒げた。
「リーナがそんな馬鹿に付き合うはずないじゃない!勝手に他人の写真まで使って……使用料くらい払えっての!」
カーバケッティがディミータにやりこめられているのを横目に、ボンバルリーナは苦笑した。
そして、諍いのもととなった紙に目を通す。
「――……これ、出てもいいわよ、私」
「本当!?」と、目をきらきら輝かせ、飛び上がって喜びそうなカーバケッティを、ディミータは殴らずにはいられなかった。
オチのないままおわる。
もろもろの事情でCさんからいただいたネタ。
Cさん、ご快諾ありがとうございました!
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