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あとがきとかメモとか諸々。
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02:The invitation from the future
CFY:ボビー





 *****

 彼は何もない荒野を歩いていた。
 厳しい日差しと、熱風にさらされて、ただひたすら。
 どれくらい歩いたか、そもそも、どこから来てどこへ行くのか、何のためいに歩いているのかすらもわからなくなった頃、彼はふいに立ち止まった。
 そしてそのまま地面へと倒れ込む。
 両の足で自分を支えていることはもうできなかった。
 ――――……………水
 ひどく喉が渇いていた。
 だが、それ以上に誰かに会いたかった。
 誰でもいい。
 誰でもいいから、今すぐ。
 このままここでひとりで干からびていくことは何よりも耐え難い。
 そして――

 「――――とゆー夢をみたんだけど、どう思う?」
 「あ、そう。よかったわねー」
 「ひどいなあ。そういうときは、『正夢ならいいわね』とか『運命的な出会いがあるかも』とかいうもんじゃないかな?フツー」
 「砂漠のド真ん中で干からびる夢が正夢でいいの?正気?」
 「愛があれば大丈夫」
 「…………沸いてるの?」
 はあ。と、テスが溜息をついた。
 「ボビー。私、あなたのことはとっても大好きだし、尊敬もしているけれど……たまについていけないわ」
 「ん?お互い少しわからないくらいのほうが結構うまくいったりするもんじゃないかな?」
 「…………」
 はああああああ。
 と、ひときわ長く溜息をつくと、テスはかぶりをふった。
 ダメだ。完全に違う世界にいっている。
 こういう状況の人間には何をいっても通用しない。
 「まあ、いいわ。とにかく!ショーが終わるまでおとなしくしていてちょうだい。私もザングラーさんにきいてみるから」
 「ありがとう」
 ボビーがそう頷くと、「じゃあね」と、手を振って、テスは慌ただしく楽屋から出ていった。
 わかってないな。
 と、ボビーは苦笑し、なんとはなしに爪先で床をトントンと叩いた。
 別に砂漠のド真ん中で干からびたいわけではない。そんなのはごめんだ。
 ――本当は場所なんか関係ない。
 砂漠でもアラスカでも極東でも、どこだっていい。
 自由に踊れて、そこに好きな子がいれば他には何もいらない。
 そうすれば、お金とか結婚とか、そういうちっぽけな悩みなんかすぐにどこかにふきとんでいってしまうだろう。
 ――だから、砂漠のド真ん中で倒れているところに、綺麗な女の子が水持って現れてくれたら最高じゃないか。
 と、思うのだが、どうやらそれはテスには理解してもらえなかったらしい。
 まあ、男と女が理解しあえないというのは、聖書の時代から続くお約束なので仕方がない。
 彼女には彼女なりの言い分や価値観があるのだろう。
 ――砂漠じゃないけど。
 ボビーは一度のびをすると立ち上がった。
 今日、うまくいけば、興行主に認めてもらえるかもしれない。
 そうすれば、この先、少しは明るい未来が待っている。
 NYという無機質なうんざりするような街でだって、しあわせは転がってるはずだ。
 「よし」
 と、小さく呟くと、ボビーは、今日、この後興行主に披露するステップの最終確認をはじめた。
 ――今度のが最高。
 無心にステップを踏むボビーの脳裏で、長い栗毛の女の子が微笑んだ。










END





東京CFY楽記念。






異国の言葉で10綴り

02:The invitation from the future (未来からの招待)
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