あとがきとかメモとか諸々。
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01:One chance is more wonderful than fates.
CFY:ポリー
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嵐のようだ。
と、ポリーは思った。
突然、大勢の綺麗な女の人をたくさん引き連れてやってきた彼は、突然、「ショーをやろう!」と言い出して。
突然、みんなを変えてしまった。一瞬で。
昨日までのやる気のなさが嘘のように。
そしてやはり突然、ポリーも変わった。明日明後日、一週間後の生活の心配をしなくてよくなった。
正しくは、よくなったかも、だが。
ショーが成功すれば、劇場を抵当から出せる。ということは、父親の借金も返せるということだ。
成功すれば、のはなしだけれども。
でも、希望があるとないとでは大違い。
ほぅ。
と、ポリーは誰もいなくなった大通りで、一人、溜息をついた。
どことなく、彼はあいつに似ていたかもしれない。
突然、ニューヨークからやってきた、銀行のボンボン。借金取り。
――いいえ。彼のほうがずっと素敵。
多分、きっと。
どうして、“似ている”だなんて思ったのだろう。
強いて似ている点をあげるとすれば一つだけ。
突然、嵐のようにやってきたということ。それだけだ。
これは偶然だろうか。
彼がやってきたこと。
彼はあいつが呼んだからやってきたといった。
ならば、あいつがどうして彼を呼んだかというと、まあ、色々あったわけで。そもそも、なんであいつがここに来たかというと、父親が劇場を抵当になんかしてしまったからで――どこまで遡ればいいのかわからない。
つまるところ、これは運命。
彼がここに来ることは、はじめから予定されていたことになる。
――そんなの、つまらない。
予定調和を運命というなら、こんなに退屈なことはない。
もっと、ほかの、何か。
そんなちっぽけなものにとらわれない、大きなもの。
――だからこれは偶然。
神様がたった一度だけ与えてくれたチャンス。
こんなこと、二度とない。
――チャンスは待っていてくれないのよ。
だから、逃がさないようにつかまえないと。
そのためには何をすればいいのか――そんなことは決まっている。
ポリーは小さく微笑うと、大通りを後にした。
明日から、また忙しくなりそうだ。
end
異国の言葉で10綴り
01:One chance is more wonderful than fates. (運命より偶然の方がすてき)
コチラのサイトさまの御題をお借りしています。
以降、この御題に関して同様です。
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