あとがきとかメモとか諸々。
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GH。
下品です。ご注意。
下品です。ご注意。
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「ねぇ、真砂子」
土曜日の昼下がり。
SPRの事務所で、麻衣は雑誌を広げて手招きした。
常に閑古鳥の鳴いている事務所ではあるが、この時間の暇さは格別である。
対する友人はそれに反応するように、資料を閉じ、身を乗り出す。
「買い物行こ、買い物」
「買い物?」
別段、麻衣と真砂子が連れ立って買い物に行くことは珍しくない。珍しくはないが、改めて誘いあって行くことでもなかった。
もっとも、高三のこの時期――センター試験が終わって、大学入試までカウントダウンをしている今では、そうそうそんなこともなかったのだが。
「何か、欲しいものでもありますの?」
いつもならともかく、時期が時期だ。ちょっとしたものだったら、試験が終わるまで我慢すべきだし、現に今までそうしてきた。
「あのね、真砂子」
麻衣は真砂子の言葉に力一杯頷く。
「ぱんつ買いにいこう」
は?
と、真砂子は聞き返したつもりだが、それは声にはならなかった。
麻衣は真砂子の様子を気にせずに続ける。
「もうすぐバレンタインデーでしょ?可愛いぱんつが一杯出てるの。安くもなってるし。早くいかないとサイズなくなっちゃうじゃない。それに、ぱんつとかブラって、元値が凄い高いから安くなったときに買わないと絶対に損だと思うんだよねー」
ほらみて。
と、麻衣は雑誌を指した。
そこには、可憐なレースで装飾された下着をつけた外人モデルのグラビアが堂々と掲載されていた。
下着姿で艶めかしい体勢をとっても生々しさがないのは、どこか作り物めいたその容貌のせいだろうか。
「だから、行こ。ねぇ、ナルって紐のが好みかなぁ?それとも、普通のでいいと思う?」
果たして、我らが所長サマが、女性の下着に「身につけていれば問題ない」以上の関心を持っているのかは甚だ疑問だが、麻衣はとりあえず訊いてみた。
「あたし的には紐は勘弁なんだけど。使いにくそうだし――素材もさぁ、やっぱりあんまり布が少なかったりしてもイヤだよねぇ。後、最低でも中地は綿じゃないと……」
「――麻衣」
「ん?あ、真砂子も訊いてきなよ。紐と普通のどっちがいいかって、ジョンに――後、何色がいいですかって」
「麻衣!!」
バンっ!と、真砂子は机を叩いた。
「あたくし、あなたと下着の買い物なんて絶対に行きませんから……っ!」
真砂子はそういうと、顔を真っ赤にして雑誌を乱暴に閉じる。
「そんな!じゃあ、試験が終わってからでいいから!」
「そういう問題じゃありません!」
麻衣には、真砂子が『試験前に買い物に行くこと』を怒っているようにみえていた。
しかし、真砂子にしてみれば、麻衣が恥じらいもなく前述のような発言をすることが信じられなかった。
根本的なところで噛み合わない会話は、その日、最後まで噛み合うことはなく。二人の不毛な言い争いは、資料室から出てきたリンが、あまりに低レベルな争いに絶句するまで続いていた。
end
でも、なんだかんだでそのうち二人でお買い物に行くと思います(笑)。
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