あとがきとかメモとか諸々。
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ACL:グレッグとコニー。
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「あら、生きてた」
重たい瞼をもちあげると、よく見慣れた顔があった。
カーテンの隙間から射し込む朝の日の光が、机上に出しっぱなしになっていたグラスに反射する。
「ったく……飲めないくせに酒飲むなんて、馬っっ鹿じゃないの?」
彼女はぶつくさといいながらも、机の上を片付けていく。
主婦だからだろうか、散らかっているのが我慢できないようだ。
まだ半分以上覚醒していない頭で、何故彼女がこの部屋にいるのかを考えてみる。しかし、これといった答えは思いつかなかった。
「……コニー?」
「なによ?あー!!もう、ここ!染みになってる!こぼしたらすぐに拭かなきゃ駄目じゃない!お酒の染みってなかなか落ちないんだから!布巾どこ?」
「…………キッチンの、一番上の引出……」
「右端?」
「三番目……」
「わかった」
「いいよ。自分でやる」
「あ、そう。なら、そうして」
彼女はそう言い放つと、立ち上がった。
彼女がそこら中に散らばっている服をまとめて洗濯機へと放り込むのを横目に見ながら、だるい身体を起こす。
床に視線を落とせば、確かに、擦り切れそうな絨毯の上には零した酒の染みが広がっていた。
「――だから、酒は飲んでも呑まれるなってあれほどいったのに!おまけに、こんな冷たい床なんかで寝ちゃって……!風邪でも引いたらどうすんのよ!?あんたって本当に馬鹿!大体、あんたみたいな人間が酒飲むことがどれくらい危険かわかってる?それなのに一人で酒飲むなんて信じらんない!――……ちょっと、聞いてるの?」
彼女はしきりに何事かをわめいていたが(おそらく、盛大で正当な文句だろう)、応える気にはなれなかった。
「――グレッグ?」
上体を起こしたまま、顔を両手で覆う。
冷え切った手のひらはほんの少しだけ不快感を取り除いてはくれたが、根本的な解決にはならなそうだ。
「グレッグ、」
「気持ち悪い……………」
「!?」
水ー!
洗面所ー!
トイレー!
と、彼女があらん限りの声で叫ぶ。
あの小さな身体のどこにそんな声量があるのだろうか。
場違いな思考回路は、ぼんやりとそんなことを考えていた。
* * *
人妻とゲイ(←タイトル・笑)
その1
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