あとがきとかメモとか諸々。
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BB:ルミエールとバベット
※エロではありませんが下品です。
かなり下品です。
BBのイメージ崩したくないー!!って方はご注意。
色々笑って許せる心の広い大人の淑女の方のみどうぞー。
*****
人でなくなったときに得たものは沢山あるけれど、人でしか気付けないものだってある。
例えば、夜の短さ。
日が落ちてから活動する動物以外にとっては、夜は長い。本来夜は生物が眠りにつく時間なのだから、長くなくては困るのだが、有体動産にとっては拷問以外の何ものでもなかった。退屈さは人を殺せるのではないかと思う程に。
だが、今、改めて思う。
人にとって夜は短い、と。
日が暮れてからの方が活動的なくらいだともいえる。
夜行性でもないのに夜になると精力的になるなんて、やはり人間という生物は気狂いに違いない。
「せっかく人間に戻ったんだから、人間にしかできないことを楽しまないとね」
ルミエールは呟いた。
彼女から外し、彼の手の中にある薄手の絹とレースでできたものを丁寧に――汚してしまわないように退ける。
「まぁ」
クスクスと彼女は笑った。
「わたしとは遊びですか、色男さん?」
「まさか」
笑う彼女を抱き寄せてその首筋に唇で触れる。
そうだ、人間の肌が温かくて柔らかいものだということだって忘れていた。
何せ、燭台が時計で羽根はたきにポットとカップ、おまけにタンスはドアマットでエトセトラエトセトラ……ぬくもりもくそもあったものではない。
「私はいつだって本気だよ」
「そうかしら?」
「あぁ」
「口ばっかり」
「嘘じゃないさ」
嘘ではない。
ほんとうではないだけで。
「明日は違う女の子と寝てても?」
本命以外は勘定に入らないも同然だ。
「世界中のお嬢さんが私を待っているだけだ」
ルミエールがそう言い終わらないうちに、部屋の扉が勢いよく開いた。
バンっ!
という音に鼓膜が震える。
反射的に音のした方を見れば、そこには開いた扉に手を掛けたままこちらを凝視する女中の姿があった。胸元の大きく開いた意匠の女中服は、その女性の体型をより魅力的にみせるもので、贔屓目無しにしてもよく似合っていた。女中服のままだということは、まだ仕事中であったか、仕事を終えた直後なのだろう。
「――ルミエール」
「バベット……」
バベットは冷ややかに彼をみる。
ドライアイスでも焚いているのではないかと疑いたくなるくらいに、冷たい。
すぅ、と、バベットが深く呼吸をしたと思えば、次の瞬間、城中に響き渡るような怒声がとんできた。
「今度という今度は見逃さないわよ、くされ外道!!」
「まって!」
「この節操無し!!」
「誤解だ!私は君一筋、」
「うるさいっ!」
「この誠意をみてくれ!」
浮気は本気の相手がいるからできるんだ!
と、言い訳にもならない戯言をほざきながら、ルミエールはバベットに訴えた。こんな場面でなければ、それはどこかの姫君に求愛する騎士のようにみえただろう。
バベットは一瞬言葉を詰まらせると、大きな溜め息をつき、ルミエールをキッと睨みつける。
「そういうセリフは、きちんとぱんつをはいてからいいなさいっ!」
やって来たときと同じように、バンっ!と盛大な音を立てて扉が閉まる。
「ほんと、学習能力ないのね」
とは、上にいる彼女の言葉。
彼女はけらけらと他人事のように笑いながら、ゆっくりとシーツから這い出し、床に降りた。
「王子様だけじゃなくて、あなたも野獣に変えてもらったほうがよかったんじゃない?」
「…………かもね」
「そうしたら、人間に戻れないかもだけど」
「――」
……尊敬しますよ、御主人。
ルミエールは声に出さずに呟いた。
「――……愛って、なんなんだろうね」
「さぁ?」
と、彼女は答える。
「少なくとも、下半身以外で語るものじゃない?」
end
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