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あとがきとかメモとか諸々。
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GH:真砂子

※問題ない程度に中庭のネタバレアリ。





 *****

 叔母の話をぼんやりと聞き流しながら、真砂子は窓の外を眺めていた。
JR渋谷駅から程近い喫茶店。
 窓側の日当たりの良い席に真砂子は叔母と向かい合って座っていた。仕事のスケジュールの確認なのだが、先程から叔母が話している内容の殆どが右の耳から入って左の耳から抜けていってしまっている。もっとも、それでも一番肝心な部分だけは聞き逃してはいないつもりだが。
 「――っていうのが、当面の予定よ」
 平日昼間の都心の大通りは相変わらずごった返していた。人も車も多さは尋常ではない。
 これだけ沢山の人がいるのだから、中には知ってる顔の一つや二つあってもよさそうなものだが、実際、そんな偶然はない。
 そう考えると、これだけ人間が溢れている世界で知り合うということは、とんでもなく奇跡的なことなのかもしれない。
 「わかった?」
 「えぇ」
 あまりよくはわかっていなかったが、真砂子はとりあえず返事をした。
 どうせ、今週の収録は何時と何時と何時で、来週は何曜日と何曜日にロケがあって……。とか、そんな内容だ。
 アイスコーヒーのグラスを何とはなしにかき混ぜる。
 氷の量の方が増えたアイスコーヒーはカラカラと涼しげな音を立てた。
 「真砂子、きいてる?」
 「えぇ。きいています」
 何億もの人間がいる地球の上で。
 出会って、別れて。
 その確率はどれくらいのものだろうか。
 「なら、明日は――」
 窓の外で繰り広げられているのは、それのほんの一場面だ。
 カラン、と一際響く音を立てて氷が砕ける。
 「叔母さま……」
 瞬間、目に入ってきたのは、嫌というほど見慣れた後ろ姿。
 遠目だろうとそれを見間違えるはずがない。
 「ちょっと、失礼します……!」
 そう告げると、真砂子は上着と鞄をひっつかみ、喫茶店を飛び出した。
 脇目もふらずに走って、走って――
 信号で足を止めた彼に追いつく頃には、真砂子の息は軽く上がりかけていた。
 深呼吸して呼吸を落ち着かせると、真砂子は彼の名前を呼ぶ。
 「――ブラウンさん」
 感謝しよう。
 何億分の1の偶然に。
 偶然という必然に。










end





こんなの書いてますが、私、渋谷駅には2度ほどしか降り立ったことがありません。都民なのに(笑)。
ついでに中庭未読です。ネットの情報のみです。
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