あとがきとかメモとか諸々。
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猫:マンゴジェリーとランペルティーザ。
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ガシャンっと大きな音をたてて植木鉢が落ちた。
それを合図にするかのように、赤毛の猫と黄トラの猫が勢いよく民家の軒先から飛び出してくる。
二匹が駆け込んだ先は狭い行き止まりの路地。
「マンゴ!」
という、ランペルティーザの声にマンゴジェリーは立ち止まる。
その声に、少し先を走る相棒は塀の前で組手をつくった。
後ろからは追いかけてくる人間の声。
「かりるよ!」
助走の距離も踏み切りの位置も補助も文句なし。
ランペルティーザはマンゴジェリーの手を足場にして軽々と塀を飛び越えた。
そうやって宙に舞う瞬間は、いつも無音だ。
人間の声も、その辺を走る車の走行音も。
鳥のさえずりや風の音すらきこえない。
重力から解放される一瞬。
あぁ、今ならなんでもできる気がする。
そう思う。
ランペルティーザが着地するのに少し遅れて、すとんとその横に赤い影が落ちてきた。
「うまくいったね」
「あたりまえじゃん」
お互いの顔を見合わせて、へへー。と歯を見せて笑いあう。
「それじゃあ、お宝の整理にでも戻りますか」
「うん!」
きっと、そう思えるのはこの相棒のおかげだと。
これだけは変わらない。
これからも、ずっと。
改めて実感しながら、ランペルティーザはマンゴジェリーの隣にならんでお宝をつめた袋を抱えて歩き出した。
end
五反田猫楽記念。
(20080518初出。20090503加筆訂正)
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